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: 茶道具イロハ 7 : 棗 :

▼ 旧ブログ 記事:2009/08/11 17:25 からの転載 ▼



ちょうど 昨日 ゲストブックより ご質問頂きましたので、
今回は、棗について でございます。

(ネタに詰まっていたので、ご質問 ありがとうございます…(笑))


棗というのは、薄茶器(薄器)の「代名詞」です。
きちんと ナツメの形をした棗 だけでなく、
ナツメに似ても似つかぬ形でも、○○なつめ と呼んだりします。

まず、
(ややこしい言い方ですが)
なつめ型の 棗に関して申しますと、
いわゆる「利休形」(後述)という風に、
400年以上前から 寸法(形)は決まっております。

どこの お茶道具屋さんで買っても、どこの美術館で見ても、
「中棗」と書いてあれば 決まったサイズで、
「大棗」と書いてあれば どれも同じ大きさです。


さて、
薄茶器 発生の歴史的経緯ですが、
薄茶器は、元々 濃茶入の外側の木製ケース「挽家(ひきや)」
からの派生だと考えられております。

(書付クラスの、さらに時代物の 茶入には 挽家が付随している場合が多いデス)

寸胴形の、ちょうど家にある「茶筒」みたいな形であります。

伝説によると、後醍醐天皇が 吉野山の金輪寺にて作らせた
といわれる「金輪寺」や
「中次」などの筒状の茶器が、棗の成立より先行します。
いわゆる 唐物茶道具 の隆盛期ですね。

やがて 茶の湯が和風化していくにつれ、
優しい形の棗が考案されるに至ります。


ここで、昨日 ご質問を受けた
「どうして 中次はナカツギと呼ぶのか?」ですが…

筒状で、合口(あいくち:=蓋と身の境目)が ちょうど胴の真ん中に切ってあるので、
ナカツギと呼びます。

中次の蓋に、面取りがしてあるのが「面取」で、
(もっと詳しく分類すると、合口が胴の真ん中にあれば「面中次」それより上だと「面取」)
さらに 底にまで面が取ってあるのが、ご存知「雪吹(ふぶき)」ですね。
フブキの中に居るように、「上下の見極めがつかない」という意味で……。

ちなみに、PCの自動入力ではフブキと打つと「吹雪」と出ますが、
茶器のフブキは、あえて前後の文字を入れ替えて「雪 吹」と書きます。
これまた、フブキの中で 前後の見極めがつかなくなった という表現のようです。


俗に 利休が制定したといわれる「利休形」ですが、

(表千家・不審庵文庫 によりますと、
(1)利休以前から存在する器物を、利休が認め「よしとした」物=「利休形」
(2)利休が創造・創作したもの=「利休好」
だということですが。)

薄器の形には(流派にもよりますが)さまざまな分類があります。

薄器6器:(雪吹・面中次・頭切(寸切)・薬器・白粉解 オシロイトキ・茶桶)
利休好12器(如心斎12器):(大棗・中棗・小棗・一服入棗・尻張棗・茶桶・大雪吹・雪吹・面中次・白粉解・薬器棗・頭切)
ほか 「仙叟12器」「如心斎32器」など


写真:左上より
「中棗」「一服入棗」「河太郎棗」「尻張棗」
「金輪寺」「中次」「雪吹」「薬器棗」
:【ねっと店】薄茶器のページ より抜粋: http://seiyudo.ocnk.net/product-list?keyword=%E8%96%84%E5%99%A8&Submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

(河太郎とは「河童」のことで、頭が窪んでいる形状からの名称です。)