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: 茶道具イロハ 6:羽箒 双羽 唐国鳥 唐君鳥:

▼ 旧ブログ 記事:2009/06/15 15:35 からの転載 ▼



原木の質や量、環境問題、職人の減少……
「炭」
と並んで、先行きが不安視されるのが、
「羽箒」の供給です。

ワタクシの思春期の頃、「フェイク ファー運動」とやらで、
ニューヨークで、金髪女性が人造毛皮だけをまとい、
ほぼハダカで デモ行進しているニュースが流れ、
ずいぶん 目の遣り場に困った憶えがございますが……

動物愛護の観点からも、羽箒は 年々取れづらくなっている模様です。
価格は上がり、上質のものが少なくなっていきつつあります。


さて。
今回は、双羽/モロハ の羽箒について、です。

炭手前で使われる羽箒は、羽の向きによって、「炉用」「風炉用」「双羽」と3分されますが、
双羽は、「真」のお点前で使用されたりする、左右の羽根が同じ幅の羽箒です。
通常は、鳥の「尾羽」が使われます。
尾羽なので、左右の幅が同じなのです。

写真1は、「唐国鳥/カラクニドリ」 あるいは 「唐君鳥/カラキミドリ」
と呼ばれる鳥の羽です。
これは、身も蓋もない言い方をしてしまうと、
ズバリ「七面鳥」のことです。

七面鳥と言えば、どうしても クリスマスに
ワラの中に逃げる  あの唄を想像してしまいがちなので、
このように呼び換えられます。
お茶道具には、このような「呼び換え」が非常に多いですね…

双羽なので、「炉」「風炉」兼用の お稽古用として、
まず求められる羽根であります。

(ちなみに、写真2が「野雁」 写真3が「白鳥」です。)

ところで、上に『通常は、「尾羽」が使われます』と書きましたが、
上記 羽根が取れづらくなっている事情もあり、
必ずしも 尾羽だけでなく、個々の左右のバランスにより、
「炉」「風炉」「双羽」と、昨今では区分されているのではないでしょうか?

七面鳥は「飛べない鳥」ですので、
羽根の幅に 左右の大小がないのですね。

また、面白いことに、
「飛べない鳥」の中には、飛べる鳥と、左右の幅が逆になっているものがあります。
(「孔雀」しかり……です。)
わざわざ 商品の箱の中に、
「こちらは一見 ○が広いように見えますが、通常の鳥と反対であり、○用です。」
と注意書きが入っている場合があります。

残念ながら、現在「孔雀」の在庫を切らしているため、
写真でお見せできませんが、
「孔雀」といっても、あのオスの派手な羽根でなく、
絶妙に紋様の入ったメスの羽根が一般的です。

(以前、時代物の「オウムの座箒」というものがありましたが、
こちらは、虎の毛皮が似合いそうな、カラフルなものでございました…)

http://seiyudo.ocnk.net/product-list/35


●お道具イロハ●
ふだん何気なく やり過ごしている、お道具の基礎知識・豆知識を、もう一度ふり返るべく、
ワタクシ 石橋静友堂が、独断と偏見と早トチリで、一刀両断に解説しちゃうコーナーです。