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: 茶道具の未来 :



すべての事象には 明るい面と暗い面が 含まれていて、当然 「未来」 も同様かと、

推察する次第ですが、

(ワタクシが感じている 「危機感」 については、当ブログや メールマガジン等で、わりと声を小さめに 再三 書かせて頂いているつもりですが)

茶道具業界 (あるいは工芸界?) について申しますと、

暗い面 の一つには、まちがいなく 「職人の減少」 ということが、挙げられるかと存じます。


昔に較べ アートが身近になり また口に糊する手段が多様化した おかげで、

たとえば 陶芸家さん等や それを志向する若者 なんかは 増えているのかも知れません。

現に 眼にする日用品や 身の回りの種々は、昔よりずっと デザインに優れ、「作家性」 の高いものが、

増えている気がいたします。


ここで申し上げたいのは、「職人」 の減少の話 でございます。

あるいは デザインもへったくれも必要としない

そして 形あるものすべて 手仕事によってなされる造形物すべて に、無くてはならない

「職人」 の枯渇 について でございます。


たとえば、茶道具に関して申しますと、

数年前より 「炭斗の内貼り」 をされる職人が 極端に枯渇する時代に 入っております。

また、「天目茶碗の覆輪を張る職人」 も同様です。


今までは 当たり前のように享受できていたものが 当たり前でなくなる「未来」 です。

(否、未来ではなく 現在のお話でございます…)

炭斗は 数年前より 良質のものが手に入り辛くなっており、そして

天目茶碗も 今後は、銀が打ってあるものでなく、銀が塗ってある ものとなります。(上 写真、ご参照)


「戦後レジュームからの脱却」 などと申している政治家がおるようですが

(私見では 「時は流れない それは積み重なる」 ものですので)

過去の行いは 決して流せないのです。脱皮するつもりが 骨抜きになるのが 関の山でございます。

しっかりと 積み重ねてこなかった結果が 今ある姿だと、捉えるべきでありましょう。


もちろん すべての若者が 「作家性」 だけを求めて、工芸界に入っている とは申しません。

分野によっては 次代の 名も無き職人が、頼もしく育っていると聞き及びます。

では、炭斗の内貼り や 覆輪つけ などの未来は どうか?


3Dプリンタ や ロボットなど、人間以外の 「手」 が、それにとって変わるのやも 知れませんね…



写真(左):【石橋静友堂 ねっと店】 茶碗 玳皮盞天目 梅花文  *桶谷定一*  たいひさん*玳玻盞*梅花天目*七種天目[cwn90005]
      https://seiyudo.ocnk.net/product/803

写真(右):【 同 】 茶碗 鼈甲天目  *桶谷定一*  べっこう*能盞[cwn90007]
      https://seiyudo.ocnk.net/product/801